埼玉県上尾市にある井上スパイス工業株式会社は40年以上、化学調味料や添加物を使わずにカレーやスパイスを作り続けている食品メーカーです。工場ではガラス越しに約1万8000食分のカレールーができるまでの製造ラインが見学できます。
今回は、「スパイス探検隊」こと井上和人代表取締社長にお話しを伺いました。
Q 工場見学を始めたきっかけを教えてください。
A 15年前に関西へ工場見学に行ってきました。今はあちらこちらで工場見学を行っていますが、関西はすでに先進地でした。ある工場は見学以外にも食堂があったり、お土産を買えたりとお客様が楽しめる施設になっていました。土日はバスが20台~30台やってくると聞き、大変驚きました。私自身、工場見学が好きでしたし、工場を作るなら工場見学を兼ね備えたものにしたいという思いが強くなりました。
そして色々なスパイスの文化や楽しみ方を皆さんにお伝えしたくて平成17年に工場見学ができる「スパイス王国」をオープンしました。
Q 工場見学の特徴について教えてください
A 仕込んだスパイスを煮るところから見ることができます。600㎏と300㎏の釜で90分煮込むと粘土状になります。これをバットに詰めて乾燥させ、粉砕して細かくしたものを加工していきます。水分をしっかり飛ばし、時間をかけることによって個性の強いスパイスたちがまとまっていくのです。カレーというスパイスはなく、個性あるスパイスの集合体がカレーになるということを見てもらっています。
Q 工場見学で工夫している点はありますか
A 世界各国から輸入されるスパイスの原料を手に取って触れられるようにしています。さらに、その原料をすり鉢でつぶし、その香りを体験できるようにしています。また、子供たちには「スパイス人体実験!?」と名付けて原料を口にしてもらっています。カレーの中のひとつひとつのスパイスは実は苦かったり、くさかったり癖のあるものが集まっているということを実感してもらっています。こういうことを体験し、感じてもうらうことが大切だと考えています。
Q 地元との連携で何か取り組んでいますか
A 隣にある平方スポーツ広場で野球やサッカーの試合があるとカレーを300~500食くらい提供しています。1時間の休憩の間で配らなくてはいけないので大変なのですが、美味しそうに笑顔でおかわりをして食べてくれる子供達を見ると嬉しくなります。
また、イスラムの戒律に反しないカレーを作り、ハラルの認定も受けました。豚肉やアルコール、化学調味料をいれずに製造し、きちんと工場も隔離して、別工場で製造しています。
他企業から製造が難しいと断られた特殊なカレー商品も「はい!喜んで」と引き受けるようにしています。
Q 今後の抱負などについてお聞かせください
A お客様を驚かせたい、感動させたいといつも思っています。そのためには常に仕掛けをして、進化しないといけないと考えています。新しい商品開発やイベントなど、やりたいことがたくさんあります。現在はトレーラーハウスで飲食と販売を企画しています。これからも進化していきますので、楽しみにお待ちください。